✅ 結論:
統計の公式は、証券アナリスト試験で「資産運用・経済・財務分析」すべてに直結する基本武器です。
出題される6つの公式は、「単に暗記する」よりも「意味と使いどころ」を押さえると記憶が定着します。
この記事では、出題頻度が高い統計公式を厳選して、意味・使い方・理解のコツをセットで解説します。
1. 偏差(Deviation)
✅ 公式:
偏差=データ-データの平均
\(
\text{偏差} = x_i – \bar{x}
\)
✅ 意味:
各データが「平均(期待値)からどれくらい離れているか」の差。
これは分散や標準偏差の基礎となる概念。
2. 分散(Variance)
✅ 公式:
\(S^2_x = \frac{(x_1 – \bar{x})^2 + (x_2 – \bar{x})^2 + \cdots + (x_n – \bar{x})^2}{n}
\)
\(
\frac{\text{(各データ} – \text{平均)}^2 \text{の合計}}{\text{データ数}}
\)
\frac{\text{偏差}^2 \text{の合計}}{\text{データ数}}
\)
✅ ポイント:
- バラつきの指標。大きいとデータの散らばりが大きい。
- リスクの大きさ=分散として証券分析で登場。
3. 標準偏差(Standard Deviation)
✅ 公式:
\(S_x = \sqrt{S_x^2}
\)
\(
\text{標準偏差} = \sqrt{\text{分散}}
\)
✅ ポイント:
- 分散の平方根。単位が元データと一致するので理解しやすい。
- 株価の「値動きの激しさ(ボラティリティ)」=標準偏差で測定。
4. 共分散(Covariance)
✅ 公式:
\(S_{XY} = \frac{(x_1 – \bar{x})(y_1 – \bar{y}) + (x_2 – \bar{x})(y_2 – \bar{y}) + \cdots + (x_n – \bar{x})(y_n – \bar{y})}{n}
\) \(
\text{共分散} = \frac{\text{(Xの偏差)} \times \text{(Yの偏差)の合計}}{\text{データ数}}
\)
✅ 意味:
2つの変数(例:2銘柄のリターン)がどの程度同じ方向に動くかを表す。
✅ 応用:
- ポートフォリオ理論で、リスクの相殺効果を考えるときに使う。
- 正の共分散 → 同じ方向に動きやすい
- 負の共分散 → 逆方向に動きやすい
5. 相関係数(Correlation Coefficient)
✅ 公式:
\(R_{XY} = \frac{S_{XY}}{S_X \cdot S_Y}
\) \(
\text{相関係数} = \frac{\text{共分散}}{\text{Xの標準偏差} \times \text{Yの標準偏差}}
\)
✅ 意味:
共分散を標準偏差で割った「関係の強さ」を−1〜+1の範囲で数値化。
- +1:完全に正の相関
- 0:無関係
- −1:完全な逆相関
✅ 試験の注意点:
相関係数は無次元で−1〜+1の範囲という点が、選択肢の間違いに出やすい。
6. 期待値(Expected Value)
✅ 公式:
\(E[X] = \sum_{i=1}^{n} x_i \cdot p_i
\)
✅ 意味:
「将来的にこのくらいの平均値になりそう」という見込み値。
✅ 応用:
- リスク調整リターンの計算
- モデルポートフォリオの構築
- ファンダメンタルズ分析での企業価値の見積もり
✅ 試験でのよくあるミスと対策
| ミス例 | 対策 |
|---|---|
| 分散と標準偏差を混同する | 「分散=2乗の平均、標準偏差=その平方根」と整理 |
| 共分散と相関係数の違いが曖昧 | 分母の違いを意識。「相関係数は−1〜+1」 |
| 計算式を暗記していない | 「意味」→「式」→「演習」の順で繰り返す |
| 問題に出ないから軽視する | 資産運用(特にポートフォリオ理論)では頻出 |
✅ 覚え方のコツ:意味→公式→使い方の順で覚える
- 「ばらつき」→分散・標準偏差
- 「関係」→共分散・相関係数
- 「予測」→期待値
この順番で整理すると、実務でも使える知識になる。
✅ まとめ:統計公式=証券分析の“読み書き”の基礎
| 公式 | 意味 | 試験出題分野 |
|---|---|---|
| 偏差 | 平均からの差 | 基本統計(経済・財務) |
| 分散 | 偏差²の平均 | リスク指標(運用) |
| 標準偏差 | 分散の平方根 | ボラティリティ評価 |
| 共分散 | 2変数の連動性の方向 | ポートフォリオ分析 |
| 相関係数 | 関係性の強さ(−1〜+1) | リスク分散効果 |
| 期待値 | 平均的な見込み値 | 投資評価・経済学 |

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